外構・エクステリアの考え方

第2位!GL(地面の高さ)の間違い

新築時に外構工事まで考えないで、あとで後悔する事7選 第2位!

さて、前回からの続きです。

今回は、地面の高さって大事です、ってお話。

僕が前職でペーペーの現場監督だった時、一度間違ったことがありました。

結果、基礎を壊してやり直し・・・

お客様に多大なご迷惑と、何百万という損害を会社に与えて、

(大きな会社だからできた事ですが、普通はやり直ししません)

それからは誰よりも地面の高さにはシビアに設計していると思ってます。

なので、資金面を除いては一番大事なトップの位置に持って来ています。

設計GLってなに?

設計GL(ジーエル)という言葉が有ります。

グランドレベルの略で、建物の地盤面の高さを示す、とても大事な数字です。

対になる言葉に、BM(ベンチマーク)があり、マンホールや側溝、動かない物を目印とし、そこの高さを±0の基準点とします。

設計GL=BM+300

なんて表記しますが、建物の地盤面の高さは、ベンチマークから300mm(30cm)の高さですよ、って意味です。

(建築、外構の寸法はmm表記ですが、お客様にはイメージしにくいので、極力cmに変換して話すようにしています)

住宅メーカーの理想のGL

設計GLは、住宅設計段階で決まります。

基本、住宅メーカーさんは、住宅のコスト(←ここ大事)を一番下げて作れる高さに設計GLを設定します。

基礎工事で出た土を、うまく場内に散らして残土処理費用が少なくなるようにします。

敷地全体の土を捨てて、設計GLを下げて建物を建てるなんて、価格が上がって競合他社に負けてしまうので。

ちなみに昔は、基礎が高いほうが良いとか言われていましたが、今の高断熱高気密の住宅、内部土間完備の住宅では、隣地よりGLを高くしたり、基礎を高くするメリットは(ほぼ)ありません。バリアフリーから離れていくだけ。

そんな風にコスト重視で考えられることが多いのが設計GL。

急勾配
急勾配

↑道路から玄関までの急勾配の例。

カーポートが有りますので、外構工事の施工段階ではどうにもできず、滑りにくい素材で施工していますが、気休め程度です。手すりを付けてあげたいくらいの勾配です。

特に、北側道路、北側玄関はこんな感じでアプローチの距離が短くなりがちです。

住まい手の理想の設計GLとは?

ここは雪国です。

時々、上記の写真以上のとんでもない急勾配の駐車場やアプローチをみかけますが、

雪が降ると危険すぎます。スキー場みたいな傾斜。

自分の敷地で転んで骨折した方も何人か知っています。

先程も言いましたが、設計GLを下げると、大量の土を処分しなければならないので、住宅メーカーのコストは高くつきます。

だからと言って設計GLを上げると、外構工事で土留めが必要になるかもしれません。

どっちにコストをかけるのか。トータルコストと、今後の暮らしやすさを考えてどうするのか。

残念ながら、今のハウスメーカーの多くは、そこの認識が抜けています。

でも、そこに住むお客様が一番快適に暮らせるのは、

ストレスなく、道路から玄関へとアプローチ出来るレベルなのです。

もちろん、駐車場もそうです。

毎日歩くのに、転ばない様にビクビクしながらなんて、精神衛生上もよくありません。

出来る事① 階段を増やす

先程も言いましたが、設計GLは、住宅設計段階で決まります。

住宅工事が進んだあとで、外構工事でカバー出来る事って少ないのです。

基本たったの2つだけ。

急勾配

よくあるのがこの形。

駐車場に合わせて設計GLを作っています。これは正解。

ただ、それに合わせて玄関までの勾配を持ってくると、距離が近い分、急な勾配になってしまいます。

これは外構計画が間違いなんですよね。

急勾配

正解はこう。

階段を増やしてあげると、安全でゆったりとしたアプローチが出来ます。

駐車場の傾斜も適正ですし、これなら手すりいらずで快適に過ごせます。

ただ、せっかく作ったコンクリートを壊して(結構な費用がかかります)の作業で、

無駄でしかありません。

最初から相談していれば・・・ってお客様にも言われます。

出来る事② 駐車場を下げて土留めを作る

土留め

次は、全体に下げて勾配を緩くする方法です。

基礎の周りまで下げてしまう事は出来ませんので、図の様に、土留めで高低差を処理してあげる必要があります。

これが一番スッキリするやり方。ただ、土留めの費用が発生します。

ただ、こんな風に門回りのデザインとして利用する事も出来ます。

これは高低差30cmくらいを階段2段で処理しています。

階段が増えると、少し風格が出ます。

急傾斜に比べて、バリアフリーとは相反しますが、歩く分には安全になります。

こんな風に、1段(15cm程度)分を土留めを兼ねた階段で処理してあげるだけでも、

かなり傾斜は変わります。

アプローチに段差があるとお子さんは楽しいみたいです。

玄関ポーチの問題

もう一つ、設計GLの甘さによる問題点を。

今までの写真は全て当社の施工例です。

玄関タイルの段差と、外構工事の段差を見て頂けるとわかるのですが、ほぼ同じ段差にしています。

なぜなら、段差が途中で変わるのは、危ないからです。

玄関タイル

ただ、時々こういうどうにもできない現場も有ります。

設計GLに合わせて工事をすると、玄関タイルがほとんど隠れてしまいます。

かといって、タイルを均等な段差になるように下げると、基礎の塗装面より下がむき出しになってしまいます。

これだったら、玄関ポーチの一番下の段を無しで工事してくれれば良かったのに。

お客様は無駄なタイル1段分を支払って、つまづきやすく、見た目もおかしいアプローチを新築のお家に備える事になってしまいます。

設計GLは本当に大事

住宅の設計段階で、ご相談いただければ、図面と現地から判断して、

設計GLおかしいですよ!って話す事が出来ます。

建築サイドで土を処理してGLを下げた方がコストがかからないのか、

外構で土留めを作った方がコストがかからないのか、

ここでは割愛しましたが、深基礎で処理する方法もあります。

どれが使いやすいのか。快適に暮らせるのか。

それは、お客様の敷地の状況によって変わります。一概には言えません。

だからこそ、手遅れになる前に、無駄なコストをかけなくていいように、相談して頂きたいと思っております。

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